第4章 悪い夢 side O
あれから数ヶ月が経った。
俺の仕事も5人一緒のものだけはなく
ペアやトリオで行うものも増えて来た。
どの仕事場に行っても
必ずメンバーの誰かがいてくれて
周囲から守ってくれている。
スタッフさんとの打ち合わせも
なにかと理由をつけて決して一人で
対峙することはないようにしてくれていた。
正直、助かっていた。
やっぱり恐怖がある。
奴らが逮捕されたことは理解している。
ただ理解とは別のところで
年上の男性やメンバー以外の複数の男性と
同席するのが苦手になっていた。
最初のうちは良かった。
復帰したばかりで
入院中に体力が落ちたこともあり
家に帰ればそのまま倒れこむ様に
眠れたから…。
徐々に現場の空気にも慣れ
以前みたいに軽口も飛ばせるように
なった頃からあいつがやって来た。
フラッシュバック。
あの出来事が、入院中のことが
不意に目の前に表れる。
それと同時に不安も…。
夢で見ることも多くて
寝るのが怖くなってきた。
最初はお酒の力を借りようとした。
メンバーと飲みに行って飲み過ぎて
迷惑を掛けたことが何回か続いて…。
まずいと思ってオフの日を使って
病院に行く。
病院で不安を訴えると
簡単に精神安定剤と睡眠薬をくれた。
最初は処方通りに飲んでた精神安定剤も
そのうち処方を無視して飲むようになった。
飲んでる間は落ち着いてられたから…。
徐々に精神安定剤への依存が進む。
同じ病院じゃまずいと思って
あっちこっちの病院に行っては
同じように不安を訴え薬を貰う。
薬の袋と診察券だけが
どんどんと溜まっていく。
俺の不安も悪夢も一向に減らなかった…。