第18章 Will never let you go…
櫻井side
結局、オフの間、
既読がつくことはなかった緑のアイコン。
メールも送ったけどなんの反応もないまま、
俺はコンサート後の初仕事になる
生放送を終え、家に戻った。
もしかしたらと思ったけど…
家にあの人の靴はなかった。
明日は5人での仕事だ。
ここに穴を開けることは無いだろう。
明日になれば逢える。
それはすごくうれしいことなのに…
同時に不安も募る。
この4日間、
あの人はどうしていたんだろう?
様子が気になって自分のマネージャーや
チーフマネに聞いてみたけど
所在さえ教えては貰えなかった。
日曜日の夕方、雅紀が希望した通り、
あの人の荷物の内、
家に入れられそうな物が運ばれてきた。
深夜のいい時間なのに眠れそうにない。
空き部屋に置かれた俺たちにも
馴染みのソファーや藤の安楽椅子。
何となく座ってみると
あの人の香りがした気がした。
智くん…今どうしてる?
一声でいい、それがだめならせめて…
文字でもいいから教えてよ。
何をしてるのかを…。
明日の収録を考えたら
寝ないといけないのに…。
寝ようとすると浮かぶ智くんのこと。
ホテルで見た表情が
いくつもいくつも浮かんでは消える。
明日になれば…安心できるかな?
ベッドに行く気にもなれず
俺はそのまま、智くんがよく寝ていた
ソファーに寝転んだ。
智くんの残り香に包まれたまま
気がつけば眠りに落ちていた。