第18章 Will never let you go…
櫻井side
深夜の専務との話のあと、
俺たちはそのまま
自分の部屋に戻ることにした。
たかが1週間とはいえ
あの人が主人だった部屋。
でも、その主は部屋にいないのだから
いるだけむなしかったから。
部屋を出るときなんとなく振り返る。
振り返ったところであの人は居ないのに。
部屋に戻って寝ようと思ったけど
眠れなくて…
智くんからのLINEをみてようやく眠れた。
起きたらどんな会話をしようかと
距離がある分心だけは近づけたいと
若干ウキウキした気持ちのまま
眠りについたのに…。
待ってた現実は想像していたものと
全く違うものだった。
寝る前に送ったメッセージ。
すぐに既読が付かないのは
いつものことだけど…。
まさかこの時間まで付かないとは
思わなかった。
なんで?って思って
個人宛にも送ったけど
やはり既読はつかない。
メールにも返答がない。
最後の手段じゃないけど
直接電話をしてみたけど…。
電波が届かないか、
電源が入ってないため繋がらないと
無感情な女性の声がきこえるだけ。
手にしたスマホを投げつけそうになって
寸前で止めた。
駐車場に集まったみんなの空気が
重かったのもきっと同じ原因で…。
車の中の空気は東京に戻っても
少しも変わらなかった。
ひたすら重いまま、
車は俺たちの家の駐車場に吸い込まれた。
こんな気持ちで
東京に戻ってくることになるなんて
誰が想像しただろう?
重い気持ちのまま俺たちは家に入った。