第18章 Will never let you go…
櫻井side
東京に帰る日。
荷造りして駐車場に行くと
そこにはいつもの面々。
いつも通りだけど一人欠けてる。
俺たちを形づくる大事なその人が欠けてる。
みんな、なんとなく疲れた顔をしてる。
時間が来て車に乗り込んだ。
いつもならどうでもいいことで盛上がる
車内も今日は誰も喋らないから
驚くほど静かだった。
高速を走る車のタイヤの音と
幽かに聞こえるカーステから流れる音楽。
潤はキャップを目深に被り、
体を斜めにして車窓を見てる。
相葉ちゃんはその横で長い足を組んだまま
目を瞑ってる。
和はイヤホンをして小さい画面を睨みながら
なにかと戦ってるみたいだった。
俺は…スマホを握りしめたまま
このスマホが震えるのを待っている。
ずっと…。
午前中に来たLINE。
でもそれっきりで…。
俺たちのトークの既読が4にならない。
それを俺はイライラしながら
しつこいぐらい確認していた。
思わず出る舌打ちに和の肩が
ピクッと上がる。
その様子に申し訳なく思いつつも
いらだちを抑えることは出来なかった。
ヘッドフォンを取り出し、
携帯にジャックを差し込み目を瞑った。
流れてくる音なんてどうでもよかったけど
本当に必要な情報以外を
シャットダウンしたくて
紗幕代わりに音楽を耳に入れる。
閉じた瞼に浮かぶのは
昨日の夜のことだった。