第18章 Will never let you go…
大野side
テレビの音はすぐに消した。
賑やかな喋り声は今のおいらには
騒音としか思えないから。
テレビ特有の青白い光が揺らめく。
カーテンを引いて真っ暗にした部屋に
仄かに光る青白い光はまるで自分が
水の底に沈んだみたいで気持ちいい。
そのままボーッとするけど眠りは訪れない。
どうしよう?
微かに聞こえたバイブレーションの音。
のろのろと体を起こして音の発信源をみる。
「あっ…LINE…しなくちゃ」
バイブレーションはアラームだった。
時計が指し示す時間をみて、
少しだけLINEに言葉を落とす。
『お疲れ様。東京着いた。大丈夫だから…。みんなもゆっくりしてね』
それだけ入れて…
そのままスマホの電源を落とした。
一人になって、なにもかもから
逃げたくなって…。
みんなの気持ちを知りながら電源を落とす。
ベッドに寝転び、
再びゆらゆらと世界を漂う。
手の中にある小瓶。
翔くん…
これ、舐めたら昔みたいに
甘い夢を見れるかなぁ…。
それとも…もう…
おいらにはそんな権利すら
ないのかなぁ…。
金平糖が見せる甘い幻想。
なにがあっても傍にいてくれた
4人がいない。
あの日に帰ったみたいだ…。
きっとこれは罰なんだね…。
あんなことがあったのに
幸せになろうとした
愚かな自分への罰なんだ。
きっと…。
みんなを引きずり込んだ罰…なんだ。
ごめんね…でも…だい…すき…。
そのままとろとろと
眠りの淵に落ちていった。