第18章 Will never let you go…
大野side
音も立てずに閉まったドア。
静粛が支配すると思った部屋には
小さな音でクラッシックがかかってる。
微かなピアノの音に浮かぶのは皆の顔。
東京に着いたらLINEしてって
言われてるけど…。
いくらなんでもこの時間は迷惑だろ。
そう思ったら送ることも出来ない。
部屋にぼーっと立ってても仕方ない。
ベッドに寝転がって天井をみる。
白く高い天井。
突然引き払う事になった部屋のことを
思い出す。
洋服や画材の一部はクローゼットや
部屋の隅に運び込まれていた。
確かに絵は描けるなぁ…。
まぁ、描く気にはならないけど…。
部屋においてあった家具とかは
どうしたんだろう?
勝手に処分は…しないか。
それもどうでもいいか…。
いろんなことが短期間でありすぎて…
なにも感じない。
自業自得ってこういうことを言うんだな、
きっと。
翔くんによく言われてたっけ。
『智くんは警戒心が無さすぎるよ』
そんなことないって言われる度に
否定してきたけど…。
翔くんの言うことが正しかったんだ。
もっと警戒してれば…
こんなことにはならなかった。
みんなに迷惑かけることも、
ファンの皆を傷つけることもなかったんだ。
夜明けがきて、部屋に少しずつ
陽の光が射し込む。
陽の光に全てを晒させそうで
急いで遮光カーテンを引いた。
再び暗くなる部屋。
電気の代わりにテレビをつけた。