第17章 Rolling Days
櫻井side
専:「さて、何から話せば
貴方たちは納得する?」
専務が笑いながら俺たちに問いかける。
専:「大野を一人で帰したことを
怒ってる?」
何も言わない俺たちに更に問いかける。
N:「なんで…」
圧し殺したような声で和が呟くように言う。
一度、声を漏らしたらあとは
堰をきったように言葉が溢れる。
N:「なんであの人の記事、
止めなかったんですか?
知ってたんでしょ?撮られたの。
いつもなら都合の悪い記事は
どんな手を使っても潰すでしょ?
それこそ、
『あの人のグラビアを表紙に』
とでも言えば、
出版不況のこのご時世
喜んで止めるんじゃないんですか?
あの人の表紙の本は売れるって
今や業界の定説でしょ?
それを…なんで…?」
専:「止めなかったんじゃないの、
止められなかったの、今回のは。
会社だって万能じゃないの。
それに今回は…」
そこまで言うと言い澱む、専務。
M:「もっとヤバイことがあったんですか?」
潤が控えめにでも有無を言わさぬ口調で
専務に問う。
専務は自嘲するような笑みを浮かべながら
無言で頷いた。
専:「そうよ、中身は言えないけど。
それに比べれば大野のはまだ…。
まぁ、あのあと話を聞いて
あれでよかったと思ってるけど…」
その言葉に俺たちの目線は一斉に
専務に向けられた。