第17章 Rolling Days
櫻井side
車には専務も一緒に乗った。
運転席にチーフマネ、助手席に専務。
後部座席俺と潤、ニノと相葉くんで乗る。
沈黙が支配する車内で
ハンドルを握るチーフが専務に
智くんを乗せた車が無事会場を離れたと
報告しているのが聞こえる。
さっきまでの高揚していた気持ちは
風船を針で突付いたあとのように
すっかり割れてなくなった。
口に出さないけど、皆も同じだろう。
一言も発さずひたすら車窓に映る
見慣れぬ街を眺めてる。
一言でも発したら何かが終わる気がして
まるで罰ゲームのようにみんな唇を結ぶ。
そんな車内の様子にひとり動じない専務が
声を発した。
専:「あと10分位で会場に着くわ。
いつまでもそんな
葬式帰りみたいな顔、してないで?
大野は古傷が悪化したから
病院に行ってることになってるわ。
打ち上げも仕事の一環だから…
ちゃんとプロとしての仕事してね。
終わったら…
貴方たちの話は聞くから…」
最後の一言はきっと彼女なりの優しさでは
あるんだと思う。
というかそう信じたかった。
その時、スマホに小さな振動を感じた。
それは俺だけじゃなかったみたいで…。
スマホのディスプレイに
緑のアイコンのアプリの着信が出てる。
その差出人を見て一瞬、目を見開いた。
それは俺だけじゃなかったみたいで…。
途中までのメッセージの続きが見たくて
ディスプレイに指を滑らせた。