第17章 Rolling Days
櫻井side
思いのほか大きく響いた俺の声に
松潤の声が重なる。
M:「え?大野さん?いないよ、ここに」
扉の先にはバスタオルを肩にかけた
松潤だけだった。
「ごめん…ねぇ、智くん知らない?」
M:「いや、シャワールームには
いなかったけど」
「え?じゃぁどうしたんだろう?
どこ行ったんだ?智くん」
開いたドアから廊下の音が聞こえた。
こつこつと聞き覚えのある
高いヒールの音が近づいてくる。
そして声が響いた。
専:「大野なら東京に戻ったわよ」
入ってきた専務が開口一番、
衝撃的なことを言った。
想像もしてなかったことが告げられて
俺たちは一言も発することが
出来なかった。
時が止まったような部屋で
ただ一人平然とした顔をしている専務。
専:「ほら、
貴方たちは移動の準備をして?」
なにもなかったように俺たちに指示を出す。
その様子に止まってた時が動き出す。
「あの、ちょっと待ってください。
帰ったって?どういうことですか?」
専:「どういうことって言葉の通りよ。
大野は東京に返したわ。
あのマンションも引き払ったから
しばらくホテル暮らしの予定よ」
専務の口から次々と告げられることに
頭も感情もついていかない。
どういうこと?
とりあえずここに智くんがいないのは
わかった。
その先は…?
専:「とにかくもう時間だから、
そろそろ車に行って?」
専務の声が冷たく響いた。