第17章 Rolling Days
大野side
翔ちゃんの体温が気持ちよかった。
このまま時間が止まればいいのに…。
そんなこと無理なのわかってるけど
そう思わずにいられなかった。
翔ちゃん…ごめんね。
明日のこの時間にはおいらはここに居ない。
明日のコンサートが終わったら
みんなと別で東京に戻るって…。
さっきチーフに言われたんだ。
でもそれは言えないの。
言っちゃダメなんだって。
いつ、家に戻れるかも決まってない。
それがおいらに与えられる
ペナルティーの一つ。
一人でホテルに篭ることになる。
みんなには大阪の個展用の制作のためって
伝えるって言ってた。
制作なんて出来るわけないじゃん…。
今のこんな気持ちのままで。
正直わかんないよ。
もう…。
おいらはどうしたいんだろう…。
誰に聞いたって答えなんて出るわけがない。
本当はこのままみんなに囲まれて
甘い時間を過ごしたい。
でも…言えない。
東京に戻ったら…
レギュラーの撮影だけが
楽しみになるだろうなぁ。
自分で招いたことだからなにも言えない。
言っちゃいけない。
明日のこともこれからのことも…
おいらは口にしちゃいけないんだ。
だから…今だけは甘えさせて…。
今だけだから…。
いるかいないかわからない神様に
祈るなんてことはしない。
自分を願いを叶えるために…
おいらは背中の温もりに願うんだ。
「翔くん…さっきの…まだ有効?」