第4章 悪い夢 side O
翔ちゃんが帰って再び静まり返った部屋。
その静かさが辛くなってテレビをつけた。
すでに収録済の5人で出てる番組が流れた。
みんなと笑ってる自分を見る。
それは遠い過去のようで…。
でも…あそこに戻りたいと思った。
俺にまだ戻るチャンスがあるのならば…
あそこに戻りたいと心底思った。
でも…次の瞬間
誰かの声が聞こえた気がした。
『お前みたいに汚れたやつが
あの光の中に戻れるわけがないだろう?
あの光の下に戻ればお前の汚れた部分が
白日に晒されるだけだ』
戻りたい…でも戻れない…。
どうしたらいい?
混乱する頭。
葛藤する…心。
迷いで頭がくらくらする…。
♪♪♪
突然、携帯電話がなった。
びくっとして体が固まる。
すぐに止んだ着信音。
…メール?
携帯を開くの自体、久々な気がする。
こわごわと携帯を開く。
結構な量の未読メールがあった。
未読一覧に並んだのは
全てメンバーの名前だった。
1通1通目を通す。
メールから感じるメンバーの気持ち。
あんなことがあっても変わらない。
いつもと同じ。
現場であったこと。
共演者の話。
楽屋での馬鹿話。
おはよう、おやすみの短いもの…。
気がつけば泣いていた。
その晩、俺は携帯を握りしめたまま
泣きつかれて眠ってた。
ずっと見ていた悪夢を
この日は見ることがなかった。