第17章 Rolling Days
大野side
本番直前まで、調整に調整を重ねた
フライングシステムだったけど
やっぱり今日は使うことができなかった。
一応、システムの側まで走っていったけど
やっぱり2日目までのようには行かなくて…。
その場で潤くんが決断して
ニノがOKと言わんばかりに頷いた。
それを見たおいらたちは花道を引き返す。
言葉なんか必要ない。
目線一つでお互いに確認して
次に向かって動く。
おいらたちにとっては
もはや当たり前のこと。
潤くんと和が目線を交わした瞬間、
歓声が上がってたけど…
歓声が上がるほどのことしたか?
よくわかんないけどおいらたちは
そのまま何事もなかったように
公演を続けた。
コンサートの最後…。
会場の灯りを落として見上げた空に
浮かんだ月がすごく綺麗だった。
吸い込まれそうなほど綺麗な月。
ぜんぶ、ぜんぶ
溶けちゃえばいいのにって思った。
ステージから見る翔くん達は
いつも以上に輝いている気がした。
おいらは…どうなんだろう?
ここにいてもいいのかな…?
あれから4日経った今もわからずにいる。
機材トラブルはあったものの
今日もとりあえず無事に終わり、
今日も大急ぎでホテルに戻ってきた。
みんなで飲むはずだけど…
翔くんは仕事が入ってるって。
また夜会のロケがあるらしい。
翔くんの部屋で飲むつもりが
急遽、おいらの部屋で飲むことになった。