第17章 Rolling Days
櫻井side
智くんがこちらに早足でやってくる。
ここのところ何度となく見続けていた
暗い表情は影を潜め、
そこにはリーダーがいた。
この人らしい動じない空気を纏い、
鋭い目をした智くん。
その表情が事の深刻さを語ってる気がした。
「智くん、どうしたの?何があった?」
O:「フライングのシステム、
調子悪いみたい。
これから整備するみたいだけど…
今日は難しいかも…」
「まじで?じゃ、演出変更?」
O:「なんとか、飛ばせるように努力するって
スタッフさん言ってたけど…。
念のため、直前で飛ばなくなった時の
フォロー策考えないと…」
A:「フライングシステム使えないと、
潤ちゃんのソロ、まずくない?」
O:「あっ…そうか。
同じシステム使うんだった」
N:「私、そっち優先に
調整してもらえるように言ってきます」
O:「ニノ、待って?ニノには万が一の方の
演出考えてほしいんだ。
潤くん手一杯だし、演出考えるなら
おいらたちよりニノの目線の方が
潤くんも安心できると思うし…」
智くんの目が俺を映す。
もちろん、判ってるよ?
「じゃ、俺がスタッフさんの所に
行ってくるよ。
一応、万が一用のリハやるでしょ?
それもネゴってくるよ」
O:「ふふ、さすが翔くん!
お願いしていい?」
「もちろん」
頷くと俺は踵を返した。