第17章 Rolling Days
櫻井side
着替え終わって暫くしたら
リハの時間になった。
スタッフさんが呼びに来たので
ステージに向かう。
休演日を1日挟んでるから、
機材やシステムのチェックがメインになる。
潤は今日もスタンド側にいる。
5人でフライングする
【ARASHI 3Dフライング】のリハの時に
問題が起こった。
M:「ごめん、ちょっと待って?」
この時はステージ側に降りてきていた
潤の顔が険しくなる。
本来ならば膨らんでいないといけない
風船が萎んだままの籠。
潤がインカムに向かって
真剣な顔で話してる。
俺たちはなにも出来なくて
その様子を見守る。
潤の真剣な顔。
目の色がどんどん厳しいものになり
空気が険しくなる。
よくない兆候だと思った矢先、
俺の横を人影が通った。
智くん?
智くんがそっと潤に近付き肩を叩く。
厳しい顔つきの潤に何か囁いてる。
潤の顔つきとは対称的に
柔和な笑みを湛え、目に余裕があった。
肩に置いた手を腰に回し少し自分の方に
潤の体を寄せる。
耳元でなにかを囁く。
潤が何回か頷いている。
ピリピリした空気が和らいだ気がした。
智くんの手が潤の背中を小さく叩く。
次の瞬間、綺麗な笑顔で潤を見て
親指を立てた。
ひとつ頷いた潤が再びインカムを向かって
話し始める。
でも、その表情は先程までの
殺気だったものではなく、
落ち着いた統括者のものだった。