第17章 Rolling Days
松本side
「大丈夫。大丈夫だから。
だれも何もしない。
安心して…
大丈夫だからね、智くん…」
抱きしめ、背中を摩り安心してと伝える。
大丈夫、ここにはあなたに害を与える人は
いないと繰り返し繰り返し伝える。
ゆっくり開かれる瞳。
「ん?起きちゃった?怖い夢でもみた?
大丈夫だからね?」
O:「潤…側にいてくれる?」
「うん、いるよ。いるから…。
ほら、寝よう?
大丈夫、怖い夢を見たらちゃんと
起こしてあげるから…ね?」
抱きしめた体に硬い感触。
その部分に手をやると
ガラスの小瓶が出てきた。
中にあるのは色とりどりの星。
手早く蓋を開けて口に放り込むと
そのまま智さんに口づけた。
甘い甘い塊を智さんの口に押し込む。
後頭部を腕に抱いたまま、
その甘い塊を溶かすように
口の中を舌で弄る。
ごくりという音とともに智さんが
溶けた甘い塊を嚥下したのがわかる。
唇を離し抱きしめて耳許で囁く。
「智くん…おやすみ。
甘い夢をみよう?側にいるから」
抱きしめた体をベッドに横たえ、
自分もその横に寝そべる。
髪の毛を撫で、背中を摩り
智さんが眠りにつくのをそのまま待った。
さっき、智さんが繰り返してた
「わからない」って言葉が頭を巡る。
そう…わからないんだ。
智さんのことを理解しているつもりだった。
けど…わかってなかったんじゃないか?
この人の抱えている闇は
もしかしたら想像よりも
もっと深いのかもしれない…。