• テキストサイズ

しあわせはここにある【気象系BL小説】

第17章 Rolling Days


大野side

潤くんと一緒に部屋に戻った。

別に悪いことをしてるわけじゃないのに
誰かに会ったらどうしよう?って思って
無意識のうちにポケットに入れたガラス瓶を
ぎゅっと握り締めてた。

M:「ちょっと待ってて」

潤くんが一言言い置いて部屋を出た。

ポケットの小瓶を出して
目の前で振ってみる。

カラカラと小さな音を立てて
カラフルな小さい星が小さな瓶の中で踊る。

小さな小さな瓶の中…。

苦しいはずなのに…
出ることに躊躇いを感じる。

出てしまったら…一人だから…。

でも自らの意思とは関係なく、
出されてしまったら…
果たしておいらは…。

放たれた世界で生きていけるのかな?

…きっと…。

不安を消したくて小さな星に手を伸ばし
祈るような気持ちで、口にする。

口に広がる甘味は…
心のバリケードを脆くする。

M:「智さん?入るよ?」

部屋を出るとき、当たり前のように
この部屋のルームキーを持ってった潤くん。

おいらもそれを咎める気は毛頭無かった。

手に日本酒の瓶があった。


M:「もう少しいけるでしょ?」


「ふふ、うん。大丈夫。
 駐車場で醒めたから」


M:「だよね?
  だから貰ったやつ、持ってきた。

  これね、前に飛行機で飲んだの。
  こっちのお酒だったんだね?

  5人じゃ足りなくなるから
  二人で飲んじゃおう?」


悪戯っぽい笑顔を浮かべて
潤くんが黒い高そうな酒瓶を振る。

綺麗な筆で『伯楽星』と書かれたラベル。

口当たりのいい酒はするすると
入っていった。
/ 1081ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp