第17章 Rolling Days
大野side
パタンと扉が閉じる音が聞こえた気がした。
緩やかに浮上する意識。
「今、何時?」
声を出しても
誰が応えるわけでもないのに…。
ぼーっとした頭のまま、スマホを探すけど
いつもなら指に当たる感触がない…。
ここ、どこだ?
ゆっくりと体を起こす。
暗闇に目が慣れて少しずつ浮かぶ景色。
見慣れぬ部屋にようやく思い出す。
そうだ、宮城だ…。
なんで寝てるんだっけ?
噛み合わない記憶を辿るように
長かった1日を思い出す。
よくわからないままに撮られた写真が
週刊誌に載ったのが金曜日。
おいらからしたら知り合いの1人にしか
説明のしようのない女と
一緒のところを撮られた。
一応、事務所に報告はした。
スタッフがわりに近くにいるだけの女で
一緒にいるところを撮られたと。
それだけ言っておけば事務所が
記事になるまえに潰すと思ってた。
だから記事が出たとき、
なんのことか解んなかった。
おいらのなかでは終わったことだと
思ってたから…。
そんな状態だから、最初はそんなに
重要に捉えてなかった。
でも時間と共に色々と情報が
出てきたらしい。
スタッフさんたちも動揺しているようだし
翔ちゃんたちも…。
翔ちゃんたちにはちゃんと話した。
あいつとは西麻布のバーで知り合ったこと。
肉体関係はないこと。
個展の準備を始めた頃から
おいらのマンションに居つくように
なったこと。
そのかわりにハウスキーパーの様なことを
するようになったから報酬として
金を渡していたこと…。