第16章 Don't be discouraged!
二宮side
「こわか…たっ…じゅ…っく…ぃなく…る
…って…怖かっ…」
S:「そうだよなぁ…怖かったよな。
もぅ2度とごめんだもんな、あんなの…
よく頑張ったな。
ほんと頑張ったよ和は」
今更ながら、喪失の恐怖に体が震えてくる。
薬だってちゃんと処方を守れば問題ない。
それは充分にわかってる。
でもこの仕事はある意味
替えが効かない仕事で
そのためには多少の無理もする。
その無理のためにわかっていても…
用量を越えてしまう。
それは自分のためじゃなく、
求められたことに応えようという
気持ち故のこと。
弱いと言われればそこまで…だけど。
でも…その先にあるものの怖さを
俺たちははからずも知っている。
知ってしまった…。
いまだ消えぬあの時の恐怖を…
大事な人が追い詰められているのにさえ
気付かずに過ごし…失いかけたことを…
忘れるなんて出来ないから…。
S:「和?今日さ、一緒に寝ようか?」
頭を撫でる手がゆっくりとリズムを刻む。
「しょぅ…ちゃ?」
顔をあげると翔ちゃんの優しいまなざし。
S:「こんな夜はさ…
人肌が恋しくなるじゃん?
隣に体温があるのって安心するんだよ。
お前、抱き心地いいし」
いたずらっぽい笑みを浮かべてる翔さん。
「仕方ないから…一緒に寝てあげますよ?」
翔さんの腕のなかで泣いたことが
急に恥ずかしくなって可愛くないことしか
言えない自分。
そんな俺の性格を十分すぎるぐらい
分かってる翔さんはにやっと笑って
「ありがとう」って言ってくれた…。