第16章 Don't be discouraged！

二宮side

二人が階段を上がって、
ドアの音がしたのをきっかけにしたように
それまでだまって上をみていた翔ちゃんが
俺に声をかけてきた。

S:「ニノ、いろいろありがとうね？

　　夕食前に聞いたときは
　　ここまでとは思わなかったから
　　ちょっと驚いたけど…。

　　先に聞いてて良かったよ。
　　じゃなきゃキレてたかも…。

　　ほんと、お前色々よく見てるよね？」

「そんなこと…ないですよ？」

翔ちゃんは首をふると
俺に向かって手招きする。

なに？と思いながらも
素直にその手に招かれる。

翔ちゃんの近くに寄った途端、腕をぐって
引っ張られて…あっという間に
翔ちゃんの腕のなかにいる俺。

「え…翔ちゃん？」

S:「お前も怖かっただろ？薬…見つけて…。

　　それでも潤のために頑張ったんだろ？
　　わかってるから…。

　　ごめんな、お前に全部任せちゃって…。

　　和が相手だったから
　　潤も素直に告げたんだと思うよ？

　　俺でも、智くんでも、
　　雅紀でも…ダメだったと思う。

　　ありがとう…。
　　もう、泣いていいよ？」

翔ちゃんの言葉が、優しさが、体温が…
沁みてくる。

張りつめてた気持ちが一気に緩む。
それと同時に涙が出てきて…
翔ちゃんの腕の中から動けなくなった。

「…っく…しょ…ゃん？」

「ん？どうした？」

泣き続ける俺の頭を
ゆっくりと優しく撫でながら
翔ちゃんがのんびりした声で聞いてくれる。