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しあわせはここにある【気象系BL小説】

第16章 Don't be discouraged!


松本side

処方薬の白い袋とシートを受け取った和。

N:「これで全部?俺、信じていい?」

真剣な目で俺を見る。

俺は頷く。
本当にこれで全部だから。

智さんのあの件の時、
同じように智さんに薬を全部出させた。

素直に出された分で全部だと思った俺らは
智さんが差し出したものが全量だと信じた。

結果的に自分達の甘さと
薬への依存の怖さを知った。

あの時の智さんにとって薬は命綱だった。

あの忌々しい事件から逃れ、
自分がもうあの件を引き摺ってないと、
立ち直って仕事を続けられると、
俺らと共にあるためにもう大丈夫だと…、
思うために必要だった。

そんな自分であるためにどうしても
薬が必要だと薬があれば大丈夫だと
頑なに信じてた。

そんな風に追いこまれてた智さんは
出した薬以外にも
色んな所に少しずつ隠してた。

万が一バレても次があることが
安心に繋がってた。

だから簡単に出してきたんだ、
袋に入った薬を。

みんなが仕事で一人だった夜、
薬を飲んで不安から逃げてた智さん。

偶然、仕事が早く終わって帰ってきた
ニノとまーに見つかった。

あの時、確かに俺たちは
薬の怖さと智さんの心の傷の深さと
人の心の脆さを知った。

でも責める気にはなれなかった。
むしろあの人に寄り添いたいと思った。

だから和の言葉の真意はわかった。

「これで全部、先生に確認してもいいよ?」

N:「そっか。
  ごめん、疑うようなこと言って」

「平気、当然だと思うから。
 俺のこと、おもってのことでしょ?」

そう言う俺に和が無言で頷いた。
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