第16章 Don't be discouraged!
二宮side
温めのお湯を張ったバスタブ。
先に入ってた潤に腕を掴まれ、
あっという間に身体の向きを変えられた。
潤くんの腕に包まれて後ろから囁かれる。
「足りなくないか?」と。
別に淡白な訳じゃないから正直まだいける。
ただ、多少流されたこと認めるけど
今日は潤くんのことを助けたかった。
助けたいというか癒したいというか…。
一人傷つく潤くんをこれ以上
そのままにしておけなかった。
飲んで少しでも潤くんを
鬱屈とさせているモノの
正体を吐き出せればいいぐらいに思ってた。
でも…薬を飲むほどに追い込まれた潤くんと
そこまで何となく、気がついていたのに
手を出さずにいた自分に腹が立った。
で、あれだ。
潤くんにあれだけ無理をさせて
これ以上は…。
なのに後ろから包み込んで
いつもの男前な口調で
そんなことを聞いてくるなんて
ズルいと思う。
あぁそうだよ、足りないよ。
もっと潤くんを貪りたいと思う。
まだまだ可愛い潤を堪能したいよ。
そんなことを思ってる俺に…
潤は然り気無く爆弾を放ってきやがった。
M:「俺もまだ足りない。
でも…。
今度は俺が…。
どんだけ愛せるのか?
どれだけ愛してるか和に教えたい
ねえ…だめ?」
俺の顎にしなやかな指をかけ
後ろに向かせる。
そのまま落ちてくる唇が伝える熱さ。
それは潤くんの心のように思えた。