第16章 Don't be discouraged!
松本side
そんな俺に和の声が響く。
N:「いつから?
なんであんなもん飲んでんの?」
静かな和の声。
でも、明らかな怒りが見える。
薬の名前が出たってことは…
きっと…なんの薬かもわかったか…。
なんにも言えなくて…黙りこむ。
N:「言えよ…なんでだよ?」
答えようにも言葉が見つからない。
ひたすら黙る俺に和の口調が強くなる。
N:「なんで黙ってんの?なんか言えよ!」
それでも黙る俺にしびれを切らした和。
N:「言えないなら…。
大野さんに話す。
俺の見たことをそのまま話すよ。
これ、俺たちに関わる事だから」
和はポケットからスマホを取り出す。
素早く指を画面に滑らせロックを解除する。
「待って!」
和の手からスマホを取りあげようとした。
俺の手と和の手がスマホを握る。
「話すから…ちゃんと話すから…
だから…待って…」
止めながら涙が出てきて…。
溢れた涙が和と俺の手に落ちる。
そんな俺を和が抱き締めてくれた。
この歳になってこんなに泣くもんなのかと
思うぐらい、後から後から涙が流れる。
見つかったことの気まずさ、
知られた事によりメンバーから
見捨てられるんじゃないかという不安、
もう隠さなくていいという安堵。
全部が混ざって、涙になって流れる。