第16章 Don't be discouraged!
二宮side
ジャズが静かに流れる室内。
少しして潤くんが皿を手に
リビングに戻ってきた。
皿をソファーの側のローテーブルに
そっと置く。
ソファーの上のバッグに気づいたのか
手にするとリビングの片隅の
チェストの上にそっと置いた。
さっき見た、処方薬の袋は検索したあと
かばんの中に入れておいたから
飛び出てたことなんて気付いてもいない。
俺も今はその話に触れる気はない。
まだ…早い。
潤くんのことを見ていた俺の目線に
気が付いたのか怪訝そうな顔のJ。
M:「ん?どうした?
なんか俺の顔についてる?」
「ええ、目と鼻と口と…
かなり濃いめの眉が」
笑いながらいうとJの手で頭を叩かれる。
M:「ばーか。
なにおやじみたいなこと言ってんの?」
「だって俺、オヤジだもん」
M:「じゃ俺もオヤジじゃん?」
「Jはまだでしょ?
今は俺の方がお兄さんだもん」
M:「『だもん』って可愛すぎるだろ、それ」
「オヤジだから可愛くないもん」
M:「だーかーらー」
「もーいいから!飲も?」
言いながら缶を開ける。
M:「あっグラス」
すぐ側のサイドボードから
高そうなグラスが出てきた。
俺はどっちでもいいんだけど…。
折角だし、グラスに注ぐ。
Jも手酌でグラスに注いで…。
二人で乾杯した。