第16章 Don't be discouraged!
松本side
一瞬、自分の部屋じゃないと思ったけど、
リビングの片隅のインターフォンの
画面が光り、この部屋のインターフォンが
鳴ってることを教える。
誰だよ?こんな時間に…。
イラっとしながら画面を睨むと
そこにはよく知った顔が映し出されていた。
「ニノ?」
それしか言えなかった。
N:「オバンです、いーれーて」
インターフォン越しの俺の声に
ニノがものすごく明るく言ってくる。
頭が混乱する。
なんでこんなところに、こんな時間に
ニノがいるんだ?
混乱したまま出たのが
「え?なんで」って一言だった。
そんな俺にニノが白いものをモニターに映す。
N:「智と翔ちゃんの邪魔できないじゃん?
潤くんとサシ飲みさたかったし…
ね、つべこべ言わず入れて?」
ニノの最後の一言に開けざるを得ないを
ひしひしと感じた。
ここで断ったら…。
さすがにスペアキーを使うことはなくても
開けるまで騒ぎかねない。
和は一度決めたら簡単には折れない。
和が酒まで買ってきたってことは
ここで飲むことは確定事項だと思う。
となると<開けない>は選択肢として
あり得ないわけだ。
ため息をつきつつ、解錠ボタンを押す。
小さく聞こえたありがとうの一言。
モニターのニノの姿がエントランスに
吸い込まれるのを確認して一息ついた。
そのまま玄関に向かい、
サンダルをつっかけて部屋のドアを
そっと開けると、エレベーターから
降りてきた和と目があった。