第16章 Don't be discouraged!
松本side
こんな時間なのに事故渋滞に嵌まって
思った以上に時間が掛かった。
ようやくマンションに辿り着く。
なんか凄く疲れた気分でハンドルに
凭れかかり、ため息をついた。
いつまでも車にいるわけにもいかない…。
荷物を持って車を出た。
湿った重く、暑い空気が体を包む。
まだ7月に入ったばかりなのに…。
梅雨の湿気の多い空気は
体も心も重く湿らせる気がする。
エントランスから屋内に入りエレベータで部屋のある階に向かう。
「疲れたなぁ…」
思わず口をつく愚痴。
明日はオフだ。
少しは寝れると良いけど…。
部屋に入りリビングのソファーに
持っていたバッグを投げるように置く。
そのままクローゼットから部屋着を出して
着替えて洗濯機に着ていた服を入れる。
リビングに戻って見るわけでもないのに
テレビをつける。
CSチャンネルから流れてきたのは
ランキング番組。
企画ものなのか2008年の曲が流れる。
あの頃は夢中になってコンサートを
作ってたよなぁ…。
流れてきた俺たちの曲。
画面に映されたのはPVではなく
初めての国立の映像だった。
みんないい表情してて、若い俺も
見るからに楽しそうで…。
窓に映る今の自分の表情とは
違いすぎて…
辛くなってテレビを切った。
その時だ。
あり得ない時間にインターフォンが鳴った。