第16章 Don't be discouraged!
松本side
歌い終わって翔くんの挨拶を聞きながら
またグルグルと思考が回る。
思考の渦に囚われているようだ。
舞台の上のキラキラ光るメンバーは
俺にとってかけがえのないモノで…
何があっても護りたいもので…。
伸び悩んで、毎日毎日葛藤していた時代も
舞台の上のみんなはキラキラしてた。
埋まらない客席、
見掛けるアンチのうちわ。
悔しくて悔しくて堪らなくても
グッと耐えて…。
絶対、来てよかったと思ってもらえる
コンサートを創るって決めて…。
少しずつ空席が減っていくのを…
熱心なファンの子の姿を
見れるようになって
みんなのキラキラが更に眩しくなって…。
その空間を創ることに
皆より深く携われるのは
すごく、誇らしくて。
S:「潤?どうした?戻るよ?大丈夫?」
いつの間に終ってたんだ…。
そう思った俺。
「ごめん。翔さんお疲れさま」
S:「おう、ありがとね。潤もお疲れ様。
大変だったみたいだね?」
翔くんが心配そうな顔で俺を見る。
疲れてるこの人にこれ以上
負担はかけられない。
「あぁメドレー?大丈夫だよ。
太一くん怒ってなかったし」
S:「そう?ならいいけど。
困ったら言えよ?」
瞳に優しい光を湛えて俺を見る翔さん。