第16章 Don't be discouraged!
松本side
ニノと話しながら脳裏を掠めるのは
ここのところおれだけが感じてる
もやもや感。
いつからだろう?
好きなはずのコンサート関係の仕事が
辛くなってきた。
でもそんなこと、言えるわけがない。
今まで造り上げてきたものに対する
自負もプライドもある。
最近では
【嵐の松本潤=コンサートの演出家】
というイメージもついてきた。
それは嫌じゃない。
むしろありがたいし、
やってきたことが認められた喜びさえある。
スタッフさんたちとも時にはぶつかるけど
お互いに最上のものをつくるために
努力してきた。
今ほど、コンサートにファンが
集まらなかった頃、
悔しくて悔しくてなんとかしたくて
口を出したことがそもそもの始まりだった。
来てくれたファンに
少しでも楽しんで欲しくて
『また来たい』って思ってもらえるように
真剣に考えた。
色んなコンサートやライブにも通った。
音楽関係だけじゃなくて芝居も歌舞伎も
とにかく大勢の人に見せるものなら
ジャンルに構わず足を運んだ。
同級生に七之助がいて、
奴とは仲が良かったから
その縁で勘三郎さんにも可愛がって、
色んな舞台関係者も紹介してもらった。
同じようで違うフィールドにいる人たちとの
交流が楽しくて仕方なかった。
暇さえあれば舞台やライブを見て、
観客の目線で考えることを覚えた。
演者としてのやり易さとか全体の纏まりとか
舞台の見方も変わってきた。
見れば見るほどアイディアが浮かんできて
それを実現させるのが楽しくて…。