第15章 Always thinking about you…
大野side
耳許に潤くんの低い声が響く。
M:「リーダー?
大野さん、落ち着いて!…智!」
潤くんが叫ぶようにおいらの名前を呼ぶ。
その声の強さと秘めた悲しみのようなものに
一瞬、動きが止まる。
潤くんの手がおいらの背中を上下し
「大丈夫」っていう囁きとともに
おいらを落ち着かせようとする。
身体の動きと心の動きがシンクロしない。
動きたいのに動けない。
心は動けと、今すぐ翔ちゃんのところに行けと
主張する。
バラバラになりそうなおいらを
潤くんがソファーにおろす。
潤くんの「大丈夫だから」っていう呟きは
おいらに聞かせてるようで…
でも自分に言い聞かせてるようで…。
翔ちゃんのところに行きたい自分と、
周りを俯瞰しようとする自分と…。
しょうちゃん、
おいら心がバラバラになりそうだよ…。
ここにはいない、画面の中の彼に
声に出せずに訴える。
翔ちゃんのコーナーが終わったのか
それまで画面を見ていたニノの気配が
近付いてきた。
和ならおいらの気持ち、分かってくれるよね?
縋るような目をしてたと思う。
目で訴えながら和の顔をみる。
N:「ねえ、翔さんよりもひどい顔色してるよ。
その顔で翔さんのところ行っても、
余計心配させるだけじゃない?」
和がおいらの頬を触れながら言う。
なんで分かってくれないの?
おいら、翔ちゃんのところに
行きたいだけなのに…。
伝わらないもどかしさに支配される。