第15章 Always thinking about you…
二宮side
楽屋に戻り、自然に定位置に座る。
ぽつりと空く、俺の横の椅子。
プロデューサーはわかっているのか、
いないのか、その空いた席に座ることはなく
別の椅子を引っ張ってきて座る。
プロデューサーが顔面に
『申し訳ない』という文字を貼付けて
俺たちに話す。
結局は視聴率が思う以上に奮わないので
新番組を始める。
そのMCに翔さんが
起用されることになったらしい。
なぜ翔さんなのかは
プロデューサーは言わなかったけど…。
多分事務所との関係を考慮したんだろうなぁ。
いきなりまったく別の人って訳にはいかなくて
番組を回せるからっていう理由で
翔さんを残したんだろうなぁ。
Jが納得できないって顔で
プロデューサーに確認する。
M:「それって…つまり打ちきり…ですか?」
Jの目つきがいつも以上に鋭い。
その眼光の鋭さに竦んだように見える。
プロデューサーが少し低めの声で
謝罪の言葉を口にする。
いつもよりも低く、感情を殺した
大野さんの声が聞こえた。
O:「あの…櫻井はこの件を
知ってるんでしょうか?」
大野さんが翔さんのことを
『櫻井』って呼んでる。
これって大野さんが【嵐】ってグループの
リーダーとしてしゃべってる時のサイン。
そうじゃない時は大野さんは誰が相手でも
「翔ちゃん」とか「翔くん」とか
名前で話すから…。
Jも大野さんの口調に気がついたのか
こっちに視線を投げてきた。
プ:「はい、既にお伝えしています…」
プロデューサーは大野さんの質問の意図が
読めないのか淡々と応える。
O:「それ、いつ、櫻井に伝えたか
教えてもらってもいいですか?」
プ:「金曜日の打ち合わせの際に
お伝えしています。
打ちきりの件も、新番組のことも…」
O:「金曜日…ですか?」
大野さんの視線が自然と空いている
俺の隣へと動いた。