第14章 Dear my doctor
櫻井side
雅紀に言われてキッチンで氷枕を用意して、他にも必要なものをもって智くんの部屋に向かう。
中から話し声が聞こえる。
ドア越しでほとんど聞こえないけど…邪魔したくなくてそのまま暫く、その場に立ってた。
話し声が途切れたタイミングでドアをノックすると雅紀が開けてくれた。
「お待たせ、智くん、氷枕持ってきたよ?」
A:「翔ちゃん、ありがとう」
智くんの頭を抱えて氷枕を首の下に入れる。
氷枕の冷たさに顔をしかめる智くん。
O:「んんっ…つめたぃ」
「まぁ、氷枕だからね。でも気持ちいいでしょ?
首とか脇とか足の付け根とかさ
大きな血管のあるところを冷やすのって
熱を下げる効果が高いんだよ?」
A:「あとはゆっくり休んで
風邪とかじゃないから体、休めたら
下がるはずだよ」
O:「二人揃って何?ほんと、お医者さんみたい…
別に平気なんだけとなぁ…」
ぶつぶつ小声で呟く智くん。
往生際が悪いと思う。
「文句言わないでおとなしく寝てて」
O:「ねぇ?行っちゃうの?」
うるうるの目で見上げてくるのは…反則じゃないですか?
A:「だってよ?翔ちゃん、居てあげれば?
大ちゃん、俺、下にいるね?」
そう言って智くんの顔を見た。