第14章 Dear my doctor
櫻井side
雅紀に言われて向き合った形で膝に乗る。
「これ、ものすごく恥ずかしいんだけど…」
触れあう肌から伝わる熱も、今の自分自身の格好も総てが恥ずかしいと思ってしまう。
A:「だからゴムつけるっつたのに…」
確かに…。
「…ごめん、何も言えない…」
A:「ちょっとは反省した?
ほら、恥ずかしいなら肩に顔、
つけてていいから」
そう言って俺の頭を肩に付けるように手を宛てる。
声に含まれる僅かな笑みと触れる手の大きさとか暖かさになんかホッとした。
「うん…、…お願い…します…」
そう言って雅紀に身を委ねる。
A:「なるべく手早く終わらせるから…
ちょっとだけ我慢してね?」
「ん」
どこまでも優しい雅紀。
雅紀の長い指がさっきまで彼を受け入れていた場所に再び侵入する。
でもそこに官能の意図はなく、繊細な動きで彼の放った情熱の名残を掻き出した。
しがみつく腕に力が入る。
そんな俺を宥めるように空いた手で背中を撫でてくれる。
安心感に包まれる時間。
シャワーが体にあたる。
A:「もう、おしまい。ほら、温まろう?」
雅紀が優しく俺の体を湯槽に浸らせる。
お湯の温かさと雅紀の優しさに包まれて…なんか眠くなってきた。
A:「翔ちゃん?翔ちゃ~ん?眠いの?
ここで寝たら溺れるよ?」
「眠い…雅紀、一緒に寝よ?」
なんだろう?さっきからずっと、言いたいこと言って雅紀に甘えて…。
甘えるのって、誰かに頼るのって存外楽しくていいもんなんだって分かった気がした。