第14章 Dear my doctor
相葉side
翔ちゃんにすこしでも気持ちを伝えたくて…。
でも話せば話すほど深みに嵌まっていくようで…苦しい。
どうしたら、翔ちゃんに伝わるかな?
もっと自分を大事にしてほしいのに…。
俺たちのことを思ってくれるように自分のことを思ってほしいのに…。
S:「雅紀…ありがとね。
なんかみっともないところ見せたよね?
雅紀のお蔭で吹っ切れたよ。
4月から、みんなの分も頑張るよ。
帰ってみんなにも謝らなきゃね?」
俺を見ながら微笑む翔ちゃん。
でもさ、無理して笑ってるよね?
なんでそうやって誤魔化すように笑うの?
笑ってる翔ちゃんは好きだけど…。
いまの笑顔は…すきじゃない。
仮面のような笑顔、見たくないよ。
どうしたらその仮面を剥がせる?
無理して浮かべた笑顔のまま…俺を見つめて翔ちゃんは続けた。
「雅紀?そんな顔するなよ?
ほんと、もぅ大丈夫だからさ…
客間、借りていい?流石に眠いや」
俺の返事を待たずに踵を返し客間に向かう翔ちゃん。
またそうやって意地張って、一人で解決しようとするの?
それがダメだってなんで分からないんだろう?
頭のいい人なのに…なんでこんな簡単なことが分からないんだろう?
自分の中に生まれる怒りに似た感情。
翔ちゃんにわかってもらえない苛立ち…なのかもしれない。
客間のドアを開け、中に入る翔ちゃんを追いかけた。