第13章 Childhood's end
大野side
和の背中を擦りながら続けた。
「ひとつ言えるのはね、
和はなにも悪くない。
だから和が傷つく必要もない。
不安に思うこともない。
和が過去に傷つけられたのは
和のせいじゃないよ。
和の強さも優しさも弱さも繊細さも…
良いところも悪いところも…
おいらは…おいら達は知ってる。
その総てを引っ括めておいらは…
和が好きだよ。
和がいないと困るんだ。
和が無意識なのか意識してなのかは
わからないけど作り出す空気とか
空間とかそういうのが
おいらには、嵐には必要なの。
和の受けた【イジメ】は
辛かったと思うけどその経験さえも
今の和を作ってると思うんだ。
和、辛いことを経験してきた
自分を責めないで。
受け入れてあげて。
その経験はマイナスじゃない。
その痛みを知る和だから出来ることが、
伝えられることがあると思うんだ。
だから胸を張っていいんだよ。
イジメられた側が
萎縮する必要は無いんだ。
反省し恥じるべきはイジメた側だよ。
イジメられたことを恥じる必要は
どこにもないんだよ…。」
和がゆっくり顔を上げる。
おいらをみる瞳は涙で濡れていた。
不思議なものを見るように
おいらのことを見る。
N:「さとし…?」
おいらに顔を向ける和の前髪を
手で梳きながら
小さい子に言い聞かせるように続けた。