第13章 Childhood's end
大野side
和が時々、ふとした時に見せる不安そうな
顔はこれが原因なんだろうと思う。
それだけ【イジメ】が残す傷痕は
大きいんだ…。
吐き出すように言葉を重ねる和に
おいらが掛けられる言葉なんて
無いと思った。
当事者でもないおいらが
どんな言葉を掛けても
偽善でしかないような気がして…。
おいらに出来るのは震える和を
抱きしめることだけだった。
和の華奢な身体は震えてた。
それは怒りのためか、
哀しさからかその両方なのか…
おいらにはわからない。
ただ和が苦しんでるのはわかった。
そしてその苦しみから
解放してやりたかった。
堂々巡りする考えに自ら終止符を打つ。
上手く伝えられるかわからなかったけど…
思ってることを慎重に言葉を選んで
伝えようと口を開いた。
「和、今日は本当に頑張ったね。
最後まで辛い気持ちを外に出さず
逃げ出さずに乗りきったね。
まずはさ、そこを褒めてあげよう?」
おいらのシャツの胸の部分が
微かに湿り気を帯びる…。
構わず抱きしめたまま続ける。
「あのさ、例えどんな理由があっても…、
誰かが誰かを一方的に傷つけるのは
やっぱりダメだよ。
和は自分が生意気だったからって
言うけど…
ほんとにそうかは分かんないよ。
もし、例えそうであったとしても…
【イジメ】って行為を正当化する
理由にはならないよ。
小学生だから許されることじゃない。
だけど同時に小学生だったことを
考えなくちゃいけないんだよね?
和はそれがわかってるから…
余計に苦しいんだよね?」
微かに和の頭が動いて肯定の意を示す。