第13章 Childhood's end
二宮side
東山さんの声が耳にはいる。
それで少し冷静になった。
そうだ、先輩達の前だから…
我慢しなくちゃ。
隣に座る智さんの手が
他の人から見えないようにそっと
俺の足に触れた。
伝わる温かさが過去に引きずられそうな
気持ちを繋ぎ止める。
隣にいたのがこの人で良かった。
大丈夫と伝えるために
自分の手を智さんの手に一瞬、重ねた。
東:「ニノの小学生時代って
どんな感じだったの?」
黒:「可愛かったですよ。
女の子たちからモテモテだったし。
こないだ久しぶりに同級生に
会ったときもみんなで
カズヤの話で盛り上ったし」
木:「カズヤ?」
「小学生の時のあだ名です。
カズナリって読みづらかったみたいで…。
あと野球やってたので、
マンガの影響です。」
無理やり笑いながら伝える。
どんどん蘇る過去の記憶。
俺の小学生時代の出来事を知ってる
智さんが一瞬、
辛そうな顔をしたのが見えた。
ほんの一瞬だけど…。
食事自体は既に終わり、飲みながら話は続く。
なんとか顔に笑顔を張り付けて耐えていた。
まだ続くんだよなって思った時、
智さんがなにかに気がついたような
表情をした。
そして「失礼します」と場にひと声をかけ
智さんが部屋の外に出た。
そしてすぐに戻ってきて
東山さんに声をかけた。