第12章 tie me up… tie you down…
櫻井side
冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを
取り出し智くんの頬にあてる。
冷えたボトルに一瞬、躰を竦める智くん。
ボトルを手渡し、一緒に着替えも渡す。
O:「翔ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして」
俺も着替えて、ソファーに戻る。
着替え終わって一息ついた智くんが
俺に体重を預けてくる。
その重さが気持ち良くて離したくなくて
肩に手を回した。
耳元で囁くように智くんが言う。
O:「翔ちゃん、あのさ…
うまく言えないけど…さっきの…。
さっき言ったこと…本当だから…
おいら……おいら…」
あの時の智くんの真剣な眼差しと
揺れた不安の影を思い出す。
「俺も本気だよ。絶対に離さないから…
潤たちのこと想ってるの知ってる。
そこは俺も変わんないし…
でも最後には俺のところに戻ってこい」
O:「翔ちゃん…」
智くんの左手首を取り、
脈打つ部分に唇を押しあてる。
「さっきは…縛ったりしてごめん」
智くんの手首に跡は無かったけど…。
O:「ふふふ、大丈夫。気にしてないよ。
あんなので縛らなくても
おいらは常に
翔ちゃんに縛られてるのに…」
智くんが俺の左手首を取り
同じようにくちづける。
O:「翔ちゃんのことも縛っていい?
おいらに…。
ここ、見えない手錠を掛けていい?」
「大丈夫、俺の手はもうずっと前から
智くんに縛られてるから」
ふたりして笑う。
その空気が気持ちよかった。