第12章 tie me up… tie you down…
櫻井side
智くんの唇が俺の目尻に触れる。
瞼に少し乾いた唇が落ちる…。
唇の乾きが智くんの緊張を伝える。
瞼を開くと智くんの瞳が見える。
智くんの真剣なまなざしが俺を貫いた。
O:「翔ちゃん…
おいら翔ちゃんから離れたら…
多分、生きていけない。
今のおいらたちの関係が世間一般で
受け入れられるなんて
少しも思ってないよ。
例えそれが
こういう業界であったとしても、
公になればアウトだと思う。
ばれたら仕事はなくなるだろうし、
この場所にもいられなくなると思う。
家族にも迷惑をかけることに
なるだろうし…。
もしかしたら一生、
後ろ指を指されるかもしれない」
わかっていることとはいえ
言葉にしてそれを聞くと
改めて重さにおののく。
そう…俺たちの想いは世間ではタブー。
これがアイドルなんかじゃなければ
もしかしたら問題ないのかも
しれないけど…。
アイドル稼業では間違いなく御法度。
決して赦されるものじゃないだろう…。
O:「それでも…
翔ちゃんと離れるのはいやだ。
おいらの我が儘だってわかってる。
でもおいら…
みんなで幸せになりたいんだ。
翔ちゃんも雅紀も和も潤くんも
みんなで幸せになりたいんだ。
今の関係のままで
みんなが幸せならこのまま…。
もしもみんながそれぞれメンバー以外に
愛する人が出来たなら…
その時はその選択を祝福したい」
そう言う智くん瞳には
強い決意の光が見えた。