第12章 tie me up… tie you down…
櫻井side
以前、番組の打ち上げでもらった景品。
いわゆる大人のおもちゃ。
手錠だのローションだのローターだの…。
まぁ業界のノリとしては
わからなくない代物が入っていた。
俺はまぁ男だから
シャレで終わらせられるけど
女性にだったら…と思いながら
マンションの物置に放置してしてた。
その存在を思い出したのは最近のこと。
そして思いついた…。
撮影の現場に置いてあった小さな揃いの瓶を
スタッフにお願いしてもらって来た。
一つ目の瓶には
グレナデン・シロップを入れる。
二つ目の瓶にはガムシロップを入れた。
智くんを食事に誘い
そのままホテルの部屋にいざなう。
シャワーを浴びて出て来た智くん。
頬がほんのり上気していた。
グラスを用意したテーブルに座り
約束のご褒美の話をする。
ここまでは予定通り。
あとは自分の演技力次第。
智くんの本心を聞くために…
二つの瓶を差し出す。
そして…大事な小道具を出す。
そこから智くんが導き出すであろう答えを
想像しながら…。
智くんの顔に浮かぶ諦め。
そして口から零れる一言。
O:「エッチな薬…でしょ?」
ビンゴ!
そして一つ嘘をつく。
単なるシロップを媚薬と告げる。
その答えを聴いたときの
智くんの瞳に微かな期待の光が見えたのは
果たして俺の気のせいか?
そのまま、偽の媚薬の説明を続ける。
この時の俺はさぞかしサディスティックな
顔をしてたんではないかと思う。