第12章 tie me up… tie you down…
櫻井side
智くんのはだけた胸にキスの雨を降らす。
どこまでも軽く…唇でかするだけのキス。
音だけは盛大に立てる。
音の刺激に敏感な智くんだから…。
唇が奏でる軽い音にさえも反応するのを
知っているから…。
…………
すこし前…智に選択を迫った。
前に言ってたご褒美……。
乱れ甘える智が欲しいと思った。
誰よりも愛しい人が乱れ、悶え、
快感に顔を歪ませる姿を
見たいと望んでしまう…。
多分、どこか壊れてるのかもしれない。
でも全てを手に入れたいと
思ってしまった。
別に普段の俺たちのベッドの上を含む関係に
不満があるわけじゃない。
むしろいい関係だと思ってる。
日々その姿に魅了される。
肌を重ねるごとに、
普通の毎日を重ねるごとに
どんどん嵌まっていっているのも
自覚している。
でも不安がある。
智くんのなかに
躊躇いが見える気がするから。
当たり前だとも思う。
こんなインモラルな関係。
普通、どこかで躊躇いがあるだろう。
わかっている。
でも…
その躊躇いを振りきらせたいと思うのは
俺のエゴだろうか?
例えばそれで
世間から指を差されるときが来たら…
全てを捨てて智くんだけ伴って
どこか別の場所で生きる覚悟なんて
とっくに出来ているのに…。
智くんの本心が知りたいと思った。
だから…。
一芝居打つことにした。