第12章 tie me up… tie you down…
大野side
ベッドに転がるおいら。
言い知れぬ不安が襲い、拘束を解こうと
本能的に体を動かす。
そんなことしても無駄なのが
わかっているのに…。
結局その行動がもたらしたのは
バスローブの前をはだけさせるという
結果だけ。
部屋の少し冷えた空気が
はだけた胸を撫でる。
そんなおいらを見ていた翔ちゃんの姿が
一瞬視界から消える。
足音が遠ざかり、戻ってくる。
戻ってきた翔ちゃんの手には
琥珀色の液体が入ったフロートグラスと
シャンパンの瓶。
不思議そうにおいらは翔ちゃんをみる。
S:「ん?これ?
まだ夜は長いから……
たっぷり見せてね?
智の…エッロい姿……」
言葉でもおいらを煽る。
シャンパンの瓶を
ベッドサイドのデスクに置き、
グラスのシャンパンを一口、口に含む。
そのままおいらに口づけ、
口移しでシャンパンを飲ませる。
翔ちゃんの体温ですこしぬるくなった
シャンパンが喉を落ちる。
そしてそのまま翔ちゃんの舌が
おいらの口を蹂躙する。
舌がくれる快感が躰の熱を煽る。
「ふ……っっん……ぁあ……っんっ」
洩れる自分の甘い声。
飲んだ媚薬、自分の声、キスの音…
躰を撫でる空気さえもが
おいらの脳を躰を犯す。
甘い刺激が欲しくて…
それだけに支配されそうになる。
翔ちゃんの唇が離れる。
「あ……もっと……」
洩れる本音。
でも聞こえてないのか翔ちゃんが
そのリクエストに応えることはない。
翔ちゃんはそのまま唇を躰へと落とす。
首筋に…鎖骨に…胸に…。
無数に落ちるキス。
でもそのキスは軽く
そして一番欲しいと望む場所には…
落ちない。