第12章 tie me up… tie you down…
大野side
口の中に変な甘さが広がる。
一気にあおったシャンパンのせいか?
それとも媚薬のせいか?
体が熱くなる。
おいらは…記憶に残る方を選んだ。
どうなるかわからないけど…
もし散々乱れて、ひどい姿を見せて
それが翔ちゃんの記憶にだけ
残るのが嫌だった。
もしかしたら翔ちゃんは
それを望むかもしれないけど
何かが違うような気がしたから…。
正直、自分がどうなるか
わからないのが怖い。
それでも…。
翔ちゃんになら全てを見せれる気がした。
多分、どんなみっともない姿も
翔ちゃんになら見せれる。
おいらが翔ちゃんの全てをみたいと思うのと
同じだと思ったから…。
翔ちゃんがくれるものなら
全て欲しいと思ってしまう自分。
それが苦痛でも快楽でも羞恥でも
全てを受け入れたいと思った。
だから…赤いほうを選んだ。
熱くなる躰。
翔ちゃんに助けを求めるように目を向ける。
翔ちゃんはおいらを抱き上げると
そのままベッドへと運んだ。
S:「待ってて」
そう言って一度ベッドをはなれた翔ちゃん。
戻ってきたとき、その手には
あのふわふわの手錠があった。
その目的とミスマッチな可愛い外見。
ギャップが余計にエロチックに思えた。
ベッドに座るおいら。
熱くなる躰を押さえるように
自らの躰を抱き締めるように
腕を交差させて耐える。
翔ちゃんが手錠のベルトをはずしながら
おいらを見る。
S:「智くん、手、出して?」
翔ちゃんの声においらは素直に
両手を差し出した。