第12章 tie me up… tie you down…
大野side
テーブルの上に置かれたもうひとつのもの。
パッと見はリストバンド。
白くてフワフワした触り心地の良さそうな
リストバンドが2つ。
ただその2つのリストバンドには2つを繋ぐ
鎖と黒い革のベルトがついていた…。
そう、それは手錠…。
相手を拘束するための道具…。
翔ちゃんの瞳にサディステックな光が灯る。
「翔ちゃん……これ」
おいらはそう一言だけ呟くのが
精一杯だった。
S:「うん、そう…これは手錠。
そしてこっちは…わかるよね?」
翔ちゃんがにっこり笑う。
おいらは観念したように頷く。
そして聞こえるか聞こえないかの
小さい声で呟く。
「エッチな薬…でしょ?」
S:「正解。媚薬だよ」
透明な液体の入った方を差し、
にこやかに続ける。
S:「付いていた説明書によるとね、
こっちは飲むと気持ちよくなって…
でもね、効いてる間のことは
記憶に残らないんだって。
それでこっちはね」
そう言って赤いほうを瓶の蓋に指を置く。
S:「飲むと気持ちよくなって…それだけ。
記憶が飛ぶことはないんだって…。
ようは、全て覚えてるってこと。
どっちも体に害が残ることは
ないそうだよ」
おいらの瞳をなにかを探るように見る。
S:「どうする?どっちがいい?」
優しく問いかける翔ちゃん。
口調とは裏腹に厳しい選択を迫る。