第12章 tie me up… tie you down…
大野side
翔ちゃんの顔を見ながら言う。
「ん?
おいら今、翔ちゃんに
プレゼント出来るものなんて
何も持ってないよ?」
翔ちゃんは首をゆっくり振りながら
S:「俺が欲しいのは…物じゃない…。
智くん、今夜は俺の言うこと
聞いてくれる?」
「翔ちゃんの言うこと?」
S:「そう…俺の言うこと…」
翔ちゃんの目が妖しく光った気がした。
「翔ちゃんの言うことを聞くのが
ご褒美なの?」
おいらはもう一度尋ねる。
翔ちゃんは無言で頷く。
「わかった。
いいよ、
それが翔ちゃんの望むご褒美なら…
約束だし…ね?」
S:「ありがと」
翔ちゃんが低く呟くように言う。
空のフロートグラスにシャンパンをそそぐ。
琥珀色に染まるグラス。
気泡が囁くように弾ける。
グラスの一つをおいらの方に滑らし、
そして2つの小瓶もおいらの方に置いた。
カタリと小さな音が耳に響く。
透明な小瓶の中には
赤い液体と透明な液体か入っていた。
S:「これ、なんだと思う?」
小瓶を指して翔ちゃんがおいらに聞く。
「え?なに?」
正直、嫌な予感しかしなくて…。
小瓶を見ないようにしながら
翔ちゃんの問いに質問で返す。
S:「この間ね、貰ったの。
覚えてる?この間の打ち上げ。
あの時のビンゴの景品」
翔ちゃんの言葉に先日出た
番組の打ち上げを思い出す。
確か、翔ちゃんが当たってなんか、
景品を受け取ってた。
司会者が少し下卑た笑いを浮かべながら
『お楽しみください』って
渡してた気がする。
どうせアダルトビテオかなんかだろうと
思ってたけど…。
「あの時の…中身?」
S:「うん。あとこれも…」
そう言って翔ちゃんが出してきた
モノを見て頭がクラクラした。
そして…液体の正体を悟った。