第10章 Super Fresh!
松本side
翔くんは大丈夫って言ったけど
早々にホテルを出ることにした。
翔くんの運転で家に戻る。
流れる都内の風景を
見るとはなしに見ている。
S:「潤?辛いなら楽にしてていいよ」
「平気だよ?
ちょっとぼーっとしてただけ」
S:「ならいいけど」
「翔くん心配し過ぎだよ。
小さな子どもじゃないんだから」
S:「別に小さい子とは思ってないよ。
小さい子はあんなに飲まないもんな」
そう言ってからかう様に笑う。
ちらりと見る目は
いつもの翔くんの穏やかな瞳だった。
「……反省してます」
S:「お、潤くん素直だね。
ほんと、あんな飲み方、
外ではやるなよ」
「はーい」
ふざけて答える俺に向けられた眼差しは
真剣そのものだった。
「ふざけて…ごめん…」
S:「わかればよろしい
智くんには黙っててやるよ」
「翔くん、ありがとう……色々…」
S:「気にするなよ。
ところでさ、
智くんの帰国便って何時着?」
「確か9時過ぎって言ってたよ」
S:「そっかぁ。
じゃ今度は俺が車、出すよ。
お前、朝弱いし?」
「え?いいの?」
S:「あぁ、いいよ。
その前に実家に顔だけは出しとけよ」
「うん、ありがとう」
S:「どういたまして」
車が家に着く。
翔くんが器用に車を車庫に停めた。
S:「擦らなくてよかった」
サッと運転席を出て
俺の乗る助手席側のドアを開けてくれる。
S:「ほい、これ」
そう言ってキーをくれた。
S:「ほら、寒いから入ろう?」
手を伸ばす翔くん。
手を握った俺の顔は…赤くなってたと思う。