第10章 Super Fresh!
櫻井side
「潤?わかってるよね?
明らかに超えてるよ、酒の量」
M:「翔くん…だって…」
「だってじゃないだろう?」
俯く潤。
テーブルの上で握りしめた拳に
水滴が落ちる。
「お前…泣いてるの?」
M:「泣いてない」
そう言って席を立つ。
俺の横を通ってベッドへ向かおうとする。
頬には涙のあと。
俺は潤に手を伸ばし通り過ぎようとする
潤の手を引いてそのまま抱き締めた。
「素直になれよ。
別に嗤ったりしないから…」
そう言って潤の頭を自分の肩に乗せる。
潤の押し殺した声が部屋に響く。
慰めるように頭を撫でる。
昔に戻ったみたいだった。
結成当時のまだまだ子どもだった潤…。
悔しいこととか
自分で納得できないことがあるたびに
涙を流してた。
そんな潤をよく慰めたよなぁ…。
いつの間にか大人になってた。
徐々に感情を露にすることもなくなり
自分で整理できるようになっていった。
それが嬉しくもあり寂しくもあった。
「末っ子、健在だな」
俺の呟きに顔を上げた潤。
頬に手を当て、そっとキスをする。
瞳に涙を溜めたまま驚いた顔で俺を見る潤。
M:「翔くん?」
「昔みたいだな…
お前、昔よくそうやって泣いてたよなぁ。
お前の寂しさ…埋めてやるよ。
あの人の代わりにはなれないし、
ならないけど…。
大事な弟が寂しがってるなら…
慰めるのは兄貴の役割だろ?
だから今日は泣いていいよ。
全部受け止めてやるから…」
俺の声に応えるように…
潤は俺にキスをした。
潤のキスは涙の味がした。