第9章 Rely on me
櫻井side
O:「ただいま」
智くんがやわらかな微笑みと共に
帰ってきた。
言い知れぬ安堵感に包まれ
大きくひとつ、息をつく。
力が抜けてそれまで自分がものすごく
張りつめてたことに気づく。
「おかえり」
O:「今、お粥温めるから待ってて。
少しなら食べれるでしょ?」
「いらない…智くんがほしい」
O:「だ~め。熱、あるでしょ?」
「熱あるときの方が気持ちいいらしいよ」
O:「翔ちゃん、
熱でどっかおかしくなった?
夕方から仕事だよ?」
「おかしくなってないよ?
さとしくんがいい」
O:「はいはい。とりあえず食べようね」
智くんがあきれたように流すけど
俺はかなり本気だったりする。
「じゃ食べたらいい?」
O:「だめ。
なに子どもみたいなこと言ってるの?」
智くんはキッチンに行き
しばらくして戻ってきた。
O:「温めたよ、ほら食べよう?」
「食べさせて…」
O:「仕方ないなぁ」
しかたないと言いつつも顔は笑ってる。
なんだかんだ言ってこの人は許してくれる。
普段は出来ないけど…
熱のあるときはリミッターがはずれる。
自分でもわかならいけど
コントロール出来ない。
際限なく甘えたくなる。
熱くないようにとふーふーして
食べさせてくれる智くんが
欲しくて仕方ない。
でも…こういう時の智くんは絶対に
一線を越えさせてくれないのもわかってる。
そういうところが…好きなんだよな。