第9章 Rely on me
大野side
S:「ねぇ、智くん?薬、飲ませて?」
珍しい翔ちゃんのおねだり。
普段はしないことを言っちゃう程、
調子悪いんだよね…。
「しょうがないなぁ、
甘えんぼさんなんだから」
そう言って薬を翔ちゃんの手から取り
口に含む。
翔ちゃんに口移しする。
一端、唇をはずし、
水を含んで再度口づける。
翔ちゃんの熱い口腔内を冷やすように
冷たい水を注ぐ。
ごくりと飲み込む音。
口のなかに残ってないのを舌で確認して
唇を離した。
熱で潤んだ瞳をおいらに向けて無言で
『もっと』とねだってくるけど…。
「よく飲めました、おりこうだね?」
あえてちゃかして誤魔化す。
S:「えー?もっと!」
今度は言葉にして来るけど
それは出来ない相談だよね。
「翔ちゃん?ダメだよね?それ。
明日、穴空けていいの?
今日はもう寝なさい。
寝れないなら…
寝るまでそばにいるから…」
そう言って翔ちゃんの肩を押し、
ベッドに横たえる。
不満そうな顔で見上げる翔ちゃん。
肩まで布団をかけてからベッドに腰掛け、
胸のあたりをポンポンと叩く。
S:「じゃ、一緒に寝て?
智くん、冷たくて気持ちいから」
「ほんと、熱のあるときの翔ちゃんは
甘えただよね?
それで寝るならいいよ。
でも着替えてくるから
ちょっとだけ待ってて」
そう言って翔ちゃんのおでこに
冷えピタを貼って部屋を出た。