第9章 Rely on me
櫻井side
智くんの声が聞こえる。
O:「翔ちゃん?
寝てるところごめんね?起きれる?」
「ん?うぅん?」
えーっと俺、どうしたんだっけ?
生放送があって智くんが楽屋に居て、
ニノの運転で帰ってきた?
まだぼーっとしてる俺に
智くんから声が掛かる。
条件反射で体が動く。
ひやっとした空気が体に触れて
ようやく目が覚める。
体の様子を聞かれて喉が痛かったから
多分、扁桃腺だと思うって言ったら
智くんが『やっぱり』って顔で俺をみた。
O:「いつから痛くなり始めた?」
「うーんと…2~3日前から…かな?」
O:「病院は?」
「行ってない」
俺を見て大きなため息をつきながら言う。
O:「最近、忙しそうだったから
嫌な予感してたけど…」
♪♪
電子音が鳴る。
智くんの手が脇に伸びて、
挟まってた体温計を抜く。
O:「やっぱり…何度か知りたい?」
体温計を手に聞いてくる智くん。
「やめとく。見たら余計調子悪くなりそう」
O:「うん、その方がいいと思う」
智くんは体温計をケースに仕舞い、
錠剤を手に取った。
O:「じゃぁ、薬のんで寝た方がいいね。
明日、5人の仕事でしょ?
穴、空けたくないでしょ?」
「うん。それは嫌。
ねぇ、智くん?薬、飲ませて?」
多分、熱でおかしいんだと思う。
頭がふわふわする。
普段なら言えない言葉が口から零れる。