第9章 Rely on me
大野side
マンションに戻り、
翔ちゃんが寝ている寝室を覗く。
まだ寝てる翔ちゃんを見て着替えさせるか
一瞬考える。
でもさすがに休まらないだろうし
水分補給や薬も考えないといけないし
と思って準備のためにリビングに戻る。
ポカリと冷えピタと…あっ体温計と解熱剤。
あと濡れタオル。
着替えは…。
勝手知ったるなんとやら。
部屋の中から勝手に探して手に持ち、
再度寝室へ向かう。
なるべく音をたてないように入り、
リビングから差し込む光を頼りに
ベッドサイドの明かりをつけた。
「翔ちゃん?
寝てるところごめんね?起きれる?」
S:「ん?うぅん?」
熱い吐息とともに瞼がうごく。
熱のせいで潤む瞳。
いつもの力強さは見えなかった。
S:「ん?さとしくん?」
「起こしてごめんね。
具合どお?とりあえず着替えよ?」
そう言って普段翔ちゃんが部屋着にしてる
スエットの上下を差し出した。
S:「え?あぁ…うん」
まだ状況が飲み込めてないのか
それとも熱で辛いのか
緩慢な動きの翔ちゃん。
「ばんざいして」
多分、わかってないと踏んで
こっちから指示を出す。
ぼーっとしたまま言われるがままに
ばんざいをする翔ちゃん。
不謹慎だけどかわいいと思ってしまう。
手早く着替えさせ、体温計を脇に挟む。
その間に翔ちゃんに聞く。
「翔ちゃんどっか痛いところある?
頭とか喉とか?」
ようやく目が覚めたような翔ちゃん。
S:「うん、喉が痛いから
多分、扁桃腺だと思う」
あぁ、やっぱりね。