第9章 Rely on me
櫻井side
O:「翔ちゃん、具合悪いでしょ?
熱、出てるでしょ?」
そう言って俺の額に智くんの額を宛てた。
智くんの額の冷たさが気持ちいい。
そしてその心地よさが嫌でも
今の自分の体調を自覚させる。
「なんで…わかったの?」
昨日はお互いマンションに行ってたし、
今日は一緒の仕事はなかった。
多少の体調不良に自覚はあったけど、
生放送に穴を開けるわけにはいかないから、
今日の放送は気合いで乗りきった。
事実、共演者もスタッフさんも
気付いた気配はなかった。
O:「なんでって…」
智くんが大きなため息をつく。
O:「そんなの放送見てたら
わかるでしょ?」
「いや、スタッフさんからも
村尾さん達からも
何も言われなかったけど…」
O:「あのねー、
翔ちゃんと何年一緒にいると
思ってるの?
顔見れば、目を見れば、
すぐわかるの!」
そう言ってそのまま俺を抱き寄せた。
O:「放送中より具合、
悪くなってるでしょ?
とりあえず帰ろう。
車のキー、貸して」
手を出す智くん。
「キーって智くん、
車、運転できないでしょ?」
O:「いいから。
運転出来る人、手配済みだから」
にっこり笑いつつも
有無を言わさぬ態度の智くん。
こういうときの智くんに勝てる人は
いないと思う。
仕方なく素直に差し出した。